狸?

isawthelight2007-08-24

 
WINDA企画。54→バファリンズ→まご→WINDA。
最前列をスーツ姿の男性がずらっと陣取ってるっていう、なかなかめずらしい光景が繰り広げられていたシェルター。あれは主にどれ目当ての方達だったのかしら…。
トップバッターは54。ビンゴさんが炊き出し焼き出しにあった人みたいなヘアスタイルになっていた。しわしわのベージュの54Tシャツを着ていて、顔も心なしか黒くなっていたような…(無精ひげのせいかも?)。1日に見たときはオールバックでチンピラ風味だったのに、1ヶ月経たないうちにここまで変貌を遂げるとは…。ちなみにボボさんとリーダーはいつも通り。セットリストもまあ大体いつもの感じで。しかし、ビンゴさんは、見かけだけでなくいろいろ変わっていた。シンセを弾くのに椅子がなく、ずっと立ったままでの演奏。歌も、間がないというか、昔のようにラップ(?)調でひっきりなしにまくし立てていたし。そして、なんとなく、椅子がない+ずっと奇声を発し続けてる…ていうので既に予感はしてたんだけど、やっぱりきたよ、ひさびさに、あの鼻汁が。4人ver.の54が好きだった人はむしろ歓迎というか懐かしかったり嬉しかったりするのかなあ…。わたしは個人的には物凄くあれは苦手で、4人の頃は、ライヴを見る場所の選定にえらく慎重になったりしていたものだった。や、なんで苦手なのかって、べつに、汚い!とかそういうことではなく(まあきれいだとは思わないし、そういう意味でもそりゃ嫌なのは嫌なんだけど)、わたしは、リーダーとボボさんのあの緊迫感溢れる低音の応酬というか、ステージをリングに見立てた男同士の本気の戦いみたいな、あの息もつかせぬ空気感…それを固唾を呑んで見守りつつ、刻まれるリズムによって次第に自分もうねり、一体化する・・・みたいな、そういうのが、54のライヴを見ることの最大の楽しみであり目的であったので、ビンゴさんが何かを垂らし、飛ばし、それで濡れたり汚れたりするかもしれない(自分じゃなくて他の人がそうなってギャーギャーなるかもしれない)心配を終始していなくてはいけない…というのは、当然、音にも集中し難いし、こちらの緊張の糸を唐突に断ち切られることもあるので、申し訳ないんだけど、やっぱり、ちょっと、イラッとしてしまうことも多かったりしたので…。ただ、それはあくまで彼の表現の一部であって、当たり前だけど、どうしても嫌なら自分で判断して確実に被害を蒙らないような所で見ればいいじゃないか?と思っていたから、だから当時は勿論そのようにして最大限の自衛をしていたのだけど。3人になってからは、ビンゴさんは着席しての演奏になっていたから、そんなことをきちきち考える必要もなくなったし、テキトーに端のほうとかで見てればOK!前で見ててもOK!と、このごろではすっかり安心しきっていたので、だから、今日突然そういうことになって、もう今更どうにも出来ないし(演奏中に動くと周りの人の集中を殺ぎかねない…)(54は曲をほとんど切らずに続けて演奏するので…)、うわあどうしよう…と。目を瞑って見ないようにすることは可能だけど、見てなくても飛んでくるものは飛んでくるし、というか感触でわかっちゃうし…。後ろの人に迷惑をかけないギリギリまでじりじりと下がって、怖いよー怖いよー…と思いながら、前半はずっとビンゴさんの動きばかりを気にしてしまった。おかげでぜんぜん楽しめなかった。しかもなんか、リーダーが何回もしかめっ面して、ブツブツと何かを呟いていたし…。うわあリーダー不機嫌?て思ったら、ますます集中できず…。でも、途中でビンゴさんが手で顔を何度もぬぐいながら弾いてるのに気付いて、あ…もう大丈夫かな?と。そうなったらちゃんと楽しめたんだけど。リーダーのブツブツ言うのも後半は無かったし。あー次見るときは後ろかボボさんサイドで見よう…。油断してた、完全に。そういうので集中できないとか、演ってるビンゴさん(というか54)にも(他のお客さんにも(そういうの伝わるかもしれないから))失礼だと思うので。次回からは気をつけなくては…。ビンゴさんごめんなさい。でも、アレンジとしても、わたしは前回までのほうが好きかなあ…。ビンゴさんがまくし立てるスタイルなら、スカムさん(ギター)居て欲しいと思う。なんだか中途半端な気がしてしまうんだよね…3人であれだと。うーん。
2番目にバファリンズ(ふつうに3番目かと思ってたから、外の看板見たとき思わず「えー!」て声が出た…)。音は少しだけ聴いたことがあるのだけど、ライヴを見るのは初めて。今日のお目当て・その1。あ、ドラムの人、見たことある…!他の人もなんとなく見覚えあるような…?んんん?でもたぶん気のせいだよね…(ドラムの人以外は…ね)。ギターとベースが男性で、ボーカルギターとドラムが女性。ギターの最初の1音で「きたー!札幌ーーー!!!」て思った。なんなんだろ?札幌バンドのギターの音って、1音ですぐわかっちゃう。絶対青いんだもん。そして大抵尖っててキラキラ(ギラギラ)してる。世代やバンドによってまたちょっと色合いは違ってくるんだけど(ゲンドウさんとかは濃い青というか紺というか黒に近い、よーさんは(札幌じゃないけど)青+白、ogさんはウルトラマリンというか目の醒めるような鮮やかな色、バファリンズは水のように透明な青…かな)。ボーカルさんの声が、音源のイメージより"歌姫"?ぽかったのにはちょっと驚いたが(ああいう歌い上げるような印象は音源では薄かったので…)、あーやっぱりかっこいいなー!と。また特殊だよね…このバンドも、いろんな面で。ボーカルさんが早々に弦を切っていたり、その間を繋ぐベースさんのMCが何故かスロット+阪神ネタだったり(いちおう日ハムも応援してるらしい)(もし日本シリーズ阪神vsハムだったら阪神側に行くって)(「東京に来るから増やしました!」て、ベースに阪神ステッカーいっぱい貼ってたのとか可笑しかった)。最後に「必ず弦を切る曲」と言ってたポンドをやってた。まあここでは弦は切らなかったけど。"札幌"と一括りにしちゃいかんのだろうけど、やはりベース(楽器の…じゃなくて、素地というか素養というか…)がそういう音なんだよなあ…と。無条件に身体になじむ音。この音の青さは、冬の寒さ(痛さ)に似ているんだろうと思う。いわゆる"しばれる"ていうやつ。うん、予想通り、好きな音だった。またライヴ見たいなあ。
MCでCDRはもう少ししか残ってない(追加生産はしない)って言ってたから、終わって即、物販へダッシュ。もう3枚しかないし…!!!物販のおねえさんの「2色あるんですけどどっちが良…」みたいな説明もろくに聞かず、慌てて1枚取って「これください!!!」と。そのわずかな遣り取りの間にも後ろから手が伸びてきてて、ほんとにすぐに売り切れ。危なかった…あと少し遅かったら買えなかった…。ふう。
ドリンク交換して、フロアの中央らへんで3番目のまごを見る。これも初見。セッティングの時点で、女性二人が着ていたお揃いのワンピが可愛くて、心の中できゃあきゃあなる。青地に刺繍が入ってる胸元切り替えの膝上丈ワンピ。靴もお揃いだったりするのかなあ…と人混みの中から下のほうを覗いて確認してみたけれど、靴はさすがに違ってた。右のひとが7センチくらいのピンヒールのサンダル、左のひとはぺたんこパンプス…かな(色は同じようなゴールドに見えた)。なんだかのんびりゆったりまったりした調子で演奏を開始。右のひとが椅子に座ってアコギ、左のひとはリズムマシン?みたいなのを立って操るというスタイル。右のひとは胸くらいの長さのナチュラルウェーヴの黒髪で、おでこを出したハーフアップスタイル、左のひとはたぶんショートヘアかな?すそだけまとめて中に入れて、飾りピンで留めてる感じ。明るい色の茶髪。なんというか、どう説明したらよいのかわからないけど、ゆるさが本当にきもちよくて、この人らみたいなのを天才っていうのかなあ…となんとなく思った。モールス酒井さんとかニカさんとか、あのへんと空気が近いような気がする。特に左のひとがほんとにすんごい可愛くて…きゃあきゃあきゃあきゃあしながら見てた、わたし。ちょっとぽっちゃりしているのだけれども(失礼)…機械を鳴らす動作が、何かのダンスか体操か拳法みたいで、ときどきおもっきり跳ねたりすると、ワンピースのすそがふわっとなって、ぱんつ見えるんじゃないか!?とか、なぜかわたしがどきどきしたり。やーもう、たまらんね。まごさいこう。右のひとは手芸?をやるらしく、高島屋の「ドルチェアンドガッパーナと同じ階」で展示?をやっているらしい。左のひとが何回も「ドルチェアンドガッパーナと同じ階です!」て繰り返してて笑った。たのしすぎたよ、まご。アルバムが今日先行販売らしくて、そのためにこのお揃いのワンピを着てきたのだとか…。うわーん気になる…CD買おうかな…。まあでも最後のWINDA見てからにしようか……。
というわけで、トリは主催者WINDA。キウイ解散以来初めて接するナオキさんの生演奏。最初に確かボーカルの人が何か(企画のこととかだったかな…)喋って…、あーボーカルさんキウイとかのライヴで良く見かけたひとじゃん…とか、PA前の柵にもたれてぼーっと眺めていたら、演奏が始まった。ナオキさんがタンッ!とスネアかタムか何か…鳴らしたその瞬間、ゾクッと全身の血が逆流するような感覚に陥った。だってそれは、紛れも無くナオキさんの音で、キウイのドラムの音だったから。わたしはキウイは、えびなさんの歌とおぐさんのギターに関しては、明確に「この音(歌)が好きだ」という自覚があったのだけど(勿論、一番好きなのは"バンド"の音)、ナオキさんやサンチェさんの音についてはあまり考えたことがなくて、だからたぶん、ディスちゃんやSLCやthymoに比べたらWINDAとかMPJDとかはちゃんと追っかけて来なかったんだろうな…と(サンチェさんは今のところ何もやってないけど、たぶん、始動してたとしても、ディスちゃんやSLCほどには熱心にチェックしなかっただろうと思われる)。というか、えびなさんは「歌」を持っているし、キウイは歌のあるバンドで、言ってしまえばキウイは半分以上えびなさんのバンドみたいなものだった。だから、キウイを好きだった人がえびなさん(ディスちゃん)を追っかけてしまうのは当たり前のことだろうと思う。おぐさんについては、キウイが無くなる前から活動していたということもあったし、ギターという楽器は一面として、何百色もの音を出せるスゴイ"機械"でもあって、おぐさんもキウイとそれ以外では結構色を変えてやっているから、だから、えびなさんとは逆に、キウイとは全く切り離した純粋な"別物"としてすんなり受け入れ楽しむことが出来たのだと思う。だけど…ナオキさんの音は…ドラムは……WINDAの音自体はキウイとはぜんぜん似ていないし、刻んでるフレーズ?とかもたぶんだいぶ違ってたんじゃないかと思うのだけど、だけど、違ってなかった、おんなじだった、スネアもシンバルもタムも、スティックを合わせるカチッという音も、キウイのときとおんなじだった、紛れも無く同じ音だったんだ。曲の構成とかぜんぜん違うのに、シンバルがシャン!と鳴るたび、ハイハットがパシンッと鳴るたび、スネアのト・タンッ!ていうのが鳴り響くたび、フロアタムを叩く時のちょっと歯を食いしばるようなナオキさんのあの表情が人々の頭の間から見え隠れするたび、ぎゅっと絞り出されるみたいに胸が痛くなって、気付いたら涙がぼろぼろ落ちてた。今そこで鳴らされている音は間違いなくWINDAの音なんだけど、涙でゆがむ景色のむこうにはなぜか「WHITE」の残像が青黒く浮かび上がっていて、なんだかもうどうしようもなくて。なんなんだろう…ドラムの音ってこんなにも"人"が占める割合が高いものだったのか…。確かに、思い起こしてみれば、こまつさんもカシクラさんもボボさんも、他のバンドで叩いているときにも"その人の音"を鳴らしていたけれど…でも…。わたしの中に在る"キウイロ−ル"を構成している要素の中で一番多くを占めるのはえびなさんに間違いないと思う、だけど、実はその次に多いのってナオキさんだったのかもしれない。なんとなくおぐさんかなと思ってた…。でも、考えてみれば、おぐさんのギターを聴いていてキウイを思い出すことってそんなに多くは無かった。ナオキさんはたった1音で記憶をよみがえらせた…。自分でもすごく驚いたし、かなり衝撃的なことだった。WINDA自体には申し訳ないんだけど、もう、わたしにはナオキさんのドラムの音しか聴こえてなかった。ステージを見ていても見ていなくても、それは変わらなかった。なんで今まで見に来なかったんだろう…とも思ったけれど、でも、来てなくて正解だったのかもしれない…とも思った。キウイが無くなった直後は、がらりと色を変えてたおぐさんはともかく、えびなさんには正直、向かい合うのが怖い時期もあったから。そんな頃にナオキさんのドラムを聴いたりしていたら・・・・・。もうだいぶいろんなことを時が少しずつ消化していってくれた今(もちろんまだ全部じゃないけれど…)だからこそ、こうやって文章に出来る程度のショックで済んでる(?)んじゃないかと思う…たぶん。まあ終わってしばらくその場を動けなかったのは事実なんだけど。あああ…なんだかもう…頭の中が「WHITE」でいっぱいになってしまった…。こんなんでディスちゃんまともに見られるのか来週…。はー…。
もちろんこんな精神状態ではまごのアルバムとかは買えず…後でCD屋さんで買えば良いや…。だけど、"彼らの音"をちゃんと聴いてなかったということで、WINDAの音源はちゃんと買った。音源はライヴとは違うから、たぶんあまり抵抗無く聴けるだろう。たぶん。
ファジーネーブルを溢す…またもや。コップから溢さず正しくのみものが飲める方法を知りたいと思いつつこれを書いている今は午前2時。もうそろそろ寝るとしよう。つーかシェルターで蚊に刺された2箇所も。かゆい。
 
※2007/08/29追記
翌日の札幌でディスちゃん「WHITE」やったそうで……。なんだろうなーこのシンクロ(?)具合…。「聴きたい」より「逃げたい」が勝ってるかもしれない…今。いや、でも、行くけど。聴くけど。あーーーーー・・・・・。