SHIBUYA

 
開演10分ほど前に、かなり混み合った会場内に入り、ビールを飲む。
1バンド目は緊張でぜんぜん聴けなかった。
 
ラムタグは2番目。
一昨日と演奏曲はほぼ同じだったが、順番は若干違った。気のせいか、曲と曲の間のタメが長いような気がした。
1曲1曲を噛み締めるようにして聴いた。
江崎さんのシールドが抜けてしまって音が出なくなるというハプニングがあったけれども、それ以外は終始、緊張感を最大級に保ち続けた演奏だった。出ている音そのものは、一昨日のライヴのほうがクォリティは高かった気がするけれど、気持ちのこもり方がやはり違っていたのだと思う。
諸富さんの歌、時々声がかすれていたように思った。ライトが思いきり当たるから、こちらもあまり顔は見られなかった。江崎さんは一昨日以上に歌っていた。マイクを通さず、一人叫ぶように。
最後に、今日で活動休止の旨を諸富さんが静かに語り始めた。「またご縁があったら…」と言っていた。福岡訛りの歓声があちこちからあがった。最後の曲はディーパーだった。
深く深く頭を下げて3人がステージ袖に消えていった。なんだかあっけないような、突き刺さるような、静かな余韻が残った。
場内では自然に拍手がアンコールを求めるものに変わっていっていた。
これは主催バンドのレコ発イベントで、しかもラムタグは2番手という位置で、まさかアンコールなんて…と思ったけれど、気持ちはもちろんあったので、私も手を叩いた。
まさかまさか・・・本当にアンコールがあった。
ずっと袖で見ていたナカヲケンタローの後ろに、カヨちゃんKENJIさんogさんも出て来ていた。次に演奏するSLC、主催の凛として時雨、そしてお客さん。皆の気持ちが、彼らを再びステージに引き戻した。この古くぼろぼろの地下のライヴハウスで、200余りの人の思いがここでひとつになったのかもしれない。
私にとってはとても短い間でしかなかったけれど、素晴らしい音をありがとう。深く深く抉るようなギター、切なく美しい歌声、きらめきと混沌のサウンド、またいつか「ご縁がある」ことを願って…。
3番目はSLCだったけど、なかなか切り替えられるわけもなくて、後ろに下がった。
物販でDVDRとCDRを買おうとしたが、まだスタッフが来ていなくて、凛として時雨の人が応対してくれた。でも私が細かいお金を持っていなくて、結局スタッフの人が来るのを待つことに。
スタッフの人はとても親切で、Tシャツは持ってきてる分は品切れだけどまだ在庫があるから…とか、いろいろ気を遣ってくれた。公式サイトも消さずにまだ残しておくらしい。
 
コンドウさん高橋さんボボさん等、バンドの人をたくさん見かけた。F君ももちろんいた。みんなラムタグを見届けに来たらしかった。あったかいな…と思った。
 
SLCをこんなに後ろで見たのは初めてだった。後ろで見るとカヨちゃんの歌がよくきこえるのかも…と思ったが、あまり変わらなかった。まあそれはこの会場の音響自体のせいかもしれないが…。
SLCもあまりセットは変わっていなかった気がする。配置も一昨日と同じだった。ついでにogさんの格好も同じだった。(黄色のシェフクックスミーTシャツをインで、黒コーデュロイパンツに白ベルト、Leeのスニーカーという出で立ち)
 
ここまで見て、もう帰ることにした。
最後まで居ると一昨日みたいな光景に遭遇するような気がして怖かったというのもあるし、ラムタグの余韻を残したままで帰りたいというのもあったから。
 
MO'とピクシーズもそりゃあすごいライヴだったろうと思う。でも、私はここに来て、ラムタグを見て、それで良かったと思う。気持ちと記憶とにこの音を焼きつけることができて、良かったと思う。