胸を張って歩いて行こうぜ

 
今日は、渋谷の時とはうって変わって、お客さんがたくさん居た。真ん中らへんには背の高い若い男の子が何人か居て、スーツ姿のサラリーマン風の人も居た。いつもライヴやイベントの時は若い女の子ばかりで平均身長が低いから、後ろでも何も見えないなんてことはなかったのに、今日は真ん中は視界ゼロで、仕方がないから端っこで見た。
斜めから場内を見渡してみると、改めて、男の人がいっぱいだった。みんな真剣にひろしのMCを聞いて頷いている。よくわかんないけど、なんか、うれしかった。
1曲目サンワーシップ。音のバランスがぐちゃぐちゃで、ボーカルが変に浮いていた。演奏するメンバーの斜め後ろで社長がヘッドフォンをして何か機械を調整しているうちに、だんだん聴きやすい音に変わっていった。てゆうか、そうゆうのは初めから調整しておくもんなんじゃないのか。相変わらず抜け漏れの多いバンドだなあ…と心の中で苦笑いしつつ、ひろしの歌を聴く。いい声だなあ。横を見ると、真ん中らへんの男子が皆体を揺らしていた。曲が終わると、ちゃんと拍手もしてくれていた。後ろを振り返ったら、さっきよりまた人が増えていた。蝦夷の時のことを思い出した。
2曲目Split my side。この曲は大好きなのだけれど、ACLバージョンだと、あの間奏の部分でひろしとすじゃくが同時のタイミングで腕を挙げることがないので、どちらかというと通常ライヴバージョンで聴きたいなーと思ってしまったりもする。ACLバージョンも、これはこれで好きだけどね。
目を閉じてずーっと聴いていて、あの間奏の部分でふと目を開けてみたら、ひろしとすじゃくが同じタイミングで腕を挙げていた。ふたりとも全開の笑顔で。…涙が出てきた。
ななに興味のない人々もひっきりなしに行き交ってゆくインストアライヴで、もし泣いたりしたらかなり変な人だと思う。店内はとてもあかるいし、化粧がくずれたらきっと目立つ。ここはこらえなくてはいけない。
ひろしがトレードツアーの話とかをしていて、先日の仙台のインストアでいっそん・カシクラさん・たがみさん等が見に来てくれたということも言っていた。「すげえうれしかったね」って。
たがみさんは、ひろし達が「コーナーが来てるならFBYも来てるのかな?」と思って電話をしたら「え?仙台?来てないけど?」と嘘をついたのだとか。しかも、「仙台なんか来てるわけないじゃん」と言いながら、インストアが始まったら最前列でライヴを見ていたらしい。やべえ…そんなおもしろいたがみさん、ちょう見たい。(そっちか)
ペコは、演奏中にさんざんちょっかいをかけられて、えらい困惑したのだとか。なんだそれ楽しそうすぎる。わたしもカシクラさんと一緒にインストア見たかった。(そっちかよ)
「まあ、そんな感じで、出来た曲」と言って、ワンウィッシュ。
途中で抜けるお客さんも多いのかな?(なんとなく通りすがりで来てみただけの人が多いのかな?)とか最初は思っていたけれど、ほとんど誰も立ち去ることはなく、みんな真剣に4人の演奏を聴き続けていた。なんだか、そうゆう空気が、とてもしあわせだった。
この中の何人かでも、またなななないんのライヴを見に来てくれたらいいな…。お金を払って、時間を割いて、聴きに来てくれたらいいな…。
ワンウィッシュは、サビがあまり盛り上がらないタイプの曲なので、おそらくななを見るのは初めてか数回目?と思われる男子の皆さんにはどうなのかしらん…と思っていたけど、みんなコーラスのところとかをしみじみ聴いてくれている様子で、ああこうゆうのも意外にウケる(?)んだ…とか思った。男子が、男子が歌うやさしい曲を好いてくれることもあるのか…みたいな。いやまあ、勝手なイメージなんだけれども…なんとなく、若年男子って、自分と同年代くらいのバンドだったら、カッコイイ系というか激しい曲とか濃いクセのあるモノとかのほうがハマるのかな…って。個人的に。こうゆう素直な(?)曲を好きな人ももちろんいるだろうけど、大半は違うのかなって。や、このへんの年代のバンドのライヴで男子が多いっていうと、そうゆう感じかなと…。なんとなく、ね。イメージが。
って、やたらと周りを見ていたような書き方だけど、実際はそんなでもなく。ほとんど下向いてたり目を閉じたりしてたし。たまにちらっと目線をあげると、なんか、視界に入るの、そうゆう男子達の挙動が。たぶん、ふだんのナナのライヴにはほとんど居ない客層だったからだと思うんだけれども。
一旦止めて、軽く呼吸を合わせて、前置きなしに始めた4曲目は、カートニー。
おおおおおおおおおお!!!ってなって、急にテンションあがってきた。だって、カートニーだよ?やるだなんてまさか思っていなかったし。
ひろしがサビでガーッと声を張り上げるのが好き。やっぱりひろしはこうゆう歌い方のほうがいいなあ。
ギタープレイもすっかり激しくなっていて、けんたろうはかなりガツガツ弾いていた。アコとはいえ、ナナはやっぱり暴れているほうが似合う。おとなしくしっとり…は、たまーにやるだけでいい。
シメはラヴバズ。
わたしはこの曲が出たときに「ななないんは変わってゆくんだな…」っていうのを、とてもとても強烈に感じた。ここから第2期だ!って、勝手に思っていた。こないだの渋谷のトークイベントの時に、メジャー契約を解除した時のエピソードで「メジャーから離れて、俺らはこれからもっと俺ららしくやっていこう!みたいな感じで出来た曲がラヴバズで…」とひろしが言っていた。わたしが勝手に思っていたことは、あながち間違いでもなかったらしい。ナナは、この曲から、変わったんだ。
そうゆう節目となった曲を、何の衒いもなく大幅にアレンジ変更してしまう彼らは、本当に強いと思う。一番最初のデモテに入っている曲であるカートニーをアレンジしなおすより、こっちのほうがはるかに思い切りが要ることのように思えるのに。
でもオレンジはあんまり変えないんだよ…そこがまた良いんだ。(あの曲を変えちゃった某バンドとの違いはそうゆうことなのかもしれない)


今日会えるかも知れなかった人達には誰にも会えなかったけれど、ぽつんとひとりっきりで見るこうゆうライヴというのもまあ良いと思う。
4人が満開の笑顔で男子達と握手を交わしているのを遠くに見遣りながら、ぽかぽかした心持ちで新宿を後にした。