7回5失点

 
5時に起きて9時半着で行ってきた。とにかく異様に暑かった。
よみうりランドに行くのも初めて、ジャイアンツ球場も初めて、だった。まず小田急読売ランド前駅に行って、徒歩1分ほどのバス停からバスに乗り、10〜15分くらい(?)でよみうりランド入口に到着。そこから更に5分程度歩いて行って、既に出来ていた列に並ぶ。恐ろしく陽射しがきつい。9時45分に開場してくれたので、入場料700円を払って中へ。ネット裏のピッチングが良く見える位置を探して座るも、じりじりと照りつける日の光のせいで、一時間とたたずに具合が悪くなってきてしまった。10時前に入って試合開始が13時…だもんなあ。ジャイアンツの練習の間はかろうじて席に居たが、相手チームの練習が始まったところでたまらず席を立ち、自販機へ。その後も何度か、冷気を求めて自販機でジュースを購入。飲みたいというよりも体を冷したくて…。日焼け止めを何度か塗り直していたから肌は大して被害は受けずに済んだけれども…。夏に野外でスポーツ観戦というのをしばらくやっていなかったから、いろいろな準備(タオル持って行くとか帽子かぶっていくとか)もしてなくて、まあ自業自得といえばそうなのだけど。夏フェスかってくらいに本当に暑くて、試合が始まる前にへこたれてしまいそうになった。
球場はかなり満員に近い状態で、背中にKUWATA 18と入ったユニホームやシャツを着ている人も多く、改めて、桑田君は「有名球団の有名選手」なのだなあ…と。先日ニュースか何かで、夏の甲子園の歴代優勝投手の中で世間一般に名前を覚えられている選手は桑田と松坂くらい…というのを見たけれど、桑田君は夏に2回優勝しているし、まあ実際ほんとにスゴイ人なんだよなあ…みたいな。テレビカメラも何台か来ていたし、マスコミの取材もいっぱい来てた。2軍の試合なのに…ね。なんか、こういうのを見ると、サッカーってまだまだ浸透度が低いな…って思ってしまう。例えばJ1の人気チーム(?)である程度活躍した選手が移籍することになったとして、サテライトの試合にこんなに人が集まるだろうか?客層の幅広さ(小学生グループ・ビール片手のオッサンたち・家族連れ・若い女の子・等々)もそうだけど、なかなかまだ、Jはこういうところまでは行っていないなあ…と。
12時過ぎにバッテリーの紹介アナウンスが球場に流れた時の歓声も凄かったなあ。相手の先発が吉見ってのにもビックリしたけど。
13時になってスタメンが読み上げられて、桑田君の時にまた大きな歓声が上がって。本人が始球式で投げる女の子を引き連れてマウンドに登場したら、ネット裏がみんな立ちあがってた。すごいなあ、すごいなあ。桑田君、愛されてるなあ。なんだかそれだけで感慨深くなってしまったよ。
プレイボール。
1球目はボールだった。2球目も。初めてストライクが入った時、場内から拍手が沸き起こった。それからも、ストライクやアウトをひとつ取る度に拍手や歓声があがっていて、場内は異様な雰囲気だった。桑田君は、いつも通り、テンポの良い、丁寧なピッチング。ストライクと微妙な判定でボールになってしまい、苦笑いする場面もあったり。1回は先頭打者をヒットで出したが、その後はキッチリ抑えて、無失点。その1回の裏に亀田が先頭打者ホームランを放って先制したが、すぐに2回に同点に追いつかれてしまう。スチールのときのベースカバーとか、守備に若干甘さがあったのも否めないけど…。センター前ヒットとかは桑田君の制球ミス…なんだろうしなあ。まあ、立ちあがりに不安定なのは仕方が無いし…。攻撃で取り返せばいいよね…と。3回、相手の先発ピッチャー吉見を、134km/h、136km/h(2球ストレート)、109km/h(スライダー?)で三球三振。投手相手とはいえ、まだまだやれる!という気概のようなものを見せてくれた気がした。裏に自らも打席に立ち、またまた大歓声を浴びる。見事な空振りで三振…だったけど。なんだかすごく楽しそうに見えた。
コラムで「短い投球回数だけど」みたいなことを書いていたから、3回で降板かな…と思っていたのだけど。4回も5回も続投。三者凡退には抑えているのだが、徐々に球威が落ちて行っているかな…とは思っていた。この日のストレートの最速はたぶん138km/h(ストライクを取った球だと136km/h)だったと思うのだけど…。だんだん、すっぽぬけたような100km/h台前半の球も増えてきてたし、ワンバウンドがあったりもしたし…。5回の表のピッチングが終わったところで、ベンチ前にマスコミがダーッとたかっていったから、ああここで終わりなのかな…って思った。でも6回も投げた。あ、この裏で逆転すれば勝ち投手の権利がつくから…?でも、裏で打順が回ってきたとき、代打は出なかった。桑田君が、打席に立った。再び大歓声。彼がこのユニで打席に立つのはこれが最後だった。またまた豪快な空振り×3で三振。思いっきりやってやった!みたいな晴れやかな表情が印象的だった。
明けて7回。このまま1失点で抑えていれば、もしかしたら完投もあったのかもしれないけれど…。いきなり先頭からヒットで出塁。2人目も出て、ノーアウト1、2塁に。ここで香田が出て来て、交代か?と。場内からは「代えるなー!」「続投しろー!」「香田空気読め!」などの歓声・野次が飛び交い、またもネット裏の客がみんな立ちあがっている状態。いつものようにグローブで口を覆いながら、桑田君が、集まったナインと香田に向かって早口でダダーッと喋っている。みんながうんうん、といった感じで頷き、輪が再び解かれた。
続投。
ここで抑えられたら良かったのだけど…結果は5安打4失点。センター前に立て続けにヒットを放たれ、自滅。
スリーアウトチェンジ。
ここでピッチャー交代が告げられた。桑田君のジャイアンツでの21年が、幕を閉じた。
次々と席を立つ家族連れ、おじさん達、名残惜しそうに応援歌を歌い続ける一部の団体、横断幕やボードを手に、帰り支度を始める女の人、、、。わたしは、しばし、呆然と席に座ったままでいた。もうジャイアンツのユニホームを着て投げる彼の姿は二度と見られない、どうにもそういう実感が沸かなくて、あー終わっちゃったのかー…みたいな、ぼんやりとした感触だけが残っていた。これからどうなるとか、そういうこともあんまり考えられなかった。ただ、終わっちゃったなー…って。最後っていうのは意外にこういうもんなのかもな…とは思った。その時はあんまり実感がなくて、きっと後からじわじわとくるのだろう…。