予告

 
砂上。


健さんが「次回の砂上で、ファウルとしての活動は」まで言った時点で、全身が凍りついた。


え、「ファウルとしての活動は」って…?


この切り出し方は……


予感的中。


「一旦、区切りとしたいな、と」


区切り…って?


「わたくしたちの仕事のこともありますし…」


「もう一度モチベーションをあげるために、ね」


「新曲も作って、録音して、アルバム…なんてね」


「そういう時が、来る…かもしれません」


……かも?…知れません?


「なので、次回、是非、お越しいただければと…」


「では、そんな、わたくしたちとみなさまにささげる曲…『decade』」


・・・・・・。


そしてラストナンバーは「fOULの休憩」


休憩…


休憩って、どういう意味ですか?


ちょっと休むってこと?それとも、ずーっと休むってこと?




なんか、みんな、下を向いていた。


気持ちが沈んでいた。


アンコールだってのに、みんな呆然としていた。
拍手もぱらぱらとしか起こらなかった。


あんな重苦しいファウルは初めてだった。


誰も笑ってないファウルのライヴ。
そんなことは今まで一度も無かったのに。




どのくらい休むの?


どのくらいしたら戻ってくるの?


戻ってくるつもりはあるの?


一旦休止なの?


小休止なの?長期停止なの?


健さんは、「休止」とも「最後」とも言わなかった。


「次で一区切り」と繰り返しただけだった。




大地弟の日記には、きっぱりと、両方の単語が書かれていた。
「休止」だ、と。次で「最後」と。


大地弟の日記を読むと、「休止」=「解散に近い無期限停止」に思えてしまう。
彼がどこまで意識して書いているのか、全ては推し量れないけれども。




なにも考えられない。



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SET LIST


・fRATERNITY
・1 am 1 am
・いかるがの空
・留守
A-BOY(新曲)
・枯槁
ドストエフスキー・グルーヴ
・忙しない雨の中のロマンス(新曲)
・従業員(the assistant)
・ヨナが呼んでいる

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・decade
fOULの休憩